LP-2020A+ NFJストア別注モデル第九ロットLimitedCustom版

こんばんは、Kです。
公式の方で詳しく書いていなかったので、長文になりますが
こちらで、詳細を記載していこうと思います。

まずはじめに、どうして終了したはずの第九ロットがあるのか、そしてなぜこのカスタム版が出来たのか
そのあたりを踏まえて話していきたいと思います。

去年の2月か3月くらいに最終ロットの第九を販売しましたが、
最終ロットという事で、かなりの量を生産しておりました。

Lepai側で製造が終わり、次にこちら側で1台1台、音出しチェック等をするのですが、
第九ロットの生産時期にLepai側が使っていたすべてのボリューム抵抗の軸が
個体差で若干緩いものがあり、弊社の検品基準で問題のあるものは除いておりました。
そして、ボリューム抵抗のメーカーは弊社との関係が深い会社でしたので、原因を究明した所で
問題のあった個体はいつか販売できるようにとそのままストックしておりました。

その後、他の製品の開発や部品調達・生産管理などで忙殺されておりましたが、
最近やっと取り掛かる時間が出来たので、部品の手配と共にさらなるカスタムを施し限定版として
調整致しました。

ボリューム抵抗は音量・TREBLE・BASSの3つを弊社手配のAPAI社製高精度選別±3dBタイプに変えています。
また、大きな目玉としてはオペアンプを音量・トーンコントロール2つともBB製OPA627に交換している事です。
昔にも触れましたが、大幅に音質が向上しトーンコントロール切替時に音が引っ込んだように聴こえる減衰感も
ほぼない状態で、十分ご満足いただけると思います。

更に入力段カップリングを特別な仕様としまして、特注タイプのSILMICⅡに変更しております。
この変更だけでも、音の解像度が高くなり空気感をより感じることが出来る仕様となっております。
こちらについても以前にどこかで触れましたが、長時間のエージングにより本領発揮されるタイプの
コンデンサーですので、エージングの楽しみも味わっていただけるようになっています。

上記3項目のカスタムと調整のリワーク作業とケースの分解・再組立そして、再度検品と約1時間の通電テストと
更にコストが掛かっており、部品代などのコスト等トータル的に考えますと9800円は破格のお値段となっております。

当初普通に調整のみでの再販を考えておりましたが、弊社関係者及びお客様方のご意見を取り入れ、
スペシャリティーのある物をユーザーの皆様にご堪能いただければと思い今回のリミテッドカスタム版の販売に至りました。
是非ともご堪能下さいませ。私からは以上となります。

P.S&私信:23日より去年と同様某氏と一緒に帰国しております。末までは滞在するつもりですので、面白いネタが有りましたら
ご連絡いただければと思います。今回は某氏の家族も一緒に来ていますので、そこまで俊敏には動けないと思います。

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新製品 PCM2704+TDA1308 DAC/DDC & HPA自作キットについて

みなさん、お久しぶりです。
今回新たにPCM2704+TDA1308 DAC/DDC & HPA自作キットを発売することになりましたが、販売に至るまでの話について触れたいと思います。
長くなりますが、自作好きな方にとっては非常に興味深い内容になっていますので、お時間の有る方は是非ご覧ください。

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【PCM2704+TDA1308 DAC/DDC & HPA自作キット開発の経緯】

現在キットの定番になってご好評いただいているPCM2704 DACキットを購入されたユーザー様からいただいているご意見で
「高めのインピーダンスのヘッドホンをキッチリ鳴らしたい」
「後段にヘッドホンアンプICを搭載してほしい」
「もう少し高音質で聴きたい」
「出力パワー(音量)が足りない」
といったお声を多数いただいており、
追加要望的な部分ではヘッドホンユーザー様からのご意見が目立っておりました。

PCM2704のIC自身にはヘッドホンを駆動させる為の簡易的な増幅アンプが付帯しており、ラインレベルでの使用やインピーダンスの低いイヤホン・ヘッドホンで使用される場合は特に問題ないのですが、「本格的にヘッドホンを駆動させたい」といったニーズまでは満たせていませんでした。

2704キットを販売している中でヘッドホンユーザー様のご意見を蓄積しつつ、そのようなニーズを満たす新たなコンセプトのキットの案を温めていたところ、面白い趣向のヘッドホンアンプICを手に入れましたので、久しぶりのNewキットの製造に踏み切りました。

【開発秘話】

設計を煮詰めていくうちに試作を数回していった際に、面白い事に気づいたんです。
試作段階で購入した2タイプのTDA1308のIC(TDA1308ICの刻印が白のシルク印字のICと、レーザー印字のIC)で音質が違う(主に音の響き・奥行き感)と感じたのです。

試作のために数個単位で購入したICだったため、最初は片方のICは偽物をつかまされた思っておりました。
そして、レーザー刻印のタイプが音質的に劣っていた感じでしたので、仕入れ先に事情を聞く為に連絡したのですが、結局両方のTDA1308はオリジナルだった事が判明しました。

最終的にはパッケージングされた中のウェハーを確認して確信に至ったのですが、白シルク印字タイプが旧タイプで、レーザー刻印タイプが現行(NXP)という事でした。
フィリップス時代のレーザー刻印もシルクの後にあったみたいですが。。。

という事で、新旧ウェハーサイズを比べてみると、大きさが2倍以上違います。
設計はほぼ同じですが、データシートの評価値は当初の大きいダイサイズの時の数値だと思われます。
結局、弊社にてアナライザーで計測した際に新旧でゲインを合わせた際の全高調波歪の値に差が出ていました。
これが、前述した響き・奥行き感に影響しているものだと思われます。

という事で長くなりましたが、結構レアな情報と音質面での影響が大きかったので、今回のフィリップスTDA1308はICの仕入れ価格が少し高かったのですが、
音質の良かったビンテージタイプの(タイランド産)のシルク印字タイプを採用する運びとなりました。

更に、PCM2704のUSBDAC ICも実はマレーシア産と日本産の2種類が存在しています。
これに関しては、以前からも把握しておりましたが、両方とも現行で製造しているものですし、特に産地は指定せず安い方(マレーシア産)を使っていました。
今回はこの機会に何かある事を祈って日本産をチョイスしています。

使用用途としてのコンセプトは変わりましたが、設計の概念などは変わらず、低雑音化を意識したGNDのアートワークを用いていますし、今回のヘッドホンアンプIC部分の回路で出力側での非可聴領域の振りも吸収されて、静かで繊細な音も綺麗に表現できるようになっています。

そして、以前と変わらずこだわりの部分は健在で、
TDKのUSB信号専用設計のコモンモードフィルターも配置していますし、電源のデカップリングは不具合が出ないレベルで安全マージンをもって各所で効かせています。
DC外部給電の切り替えもOKですし、ホストコントロール制御用のピンも用意し、
デジタルアウトのロジックICも省略せずに備えています。

また、アップグレードキットでは更なる高音質を体感できますし、デジタルアウトの信号の品質向上と光デジタルアウトが追加できます。
最近流行のハイレゾではありませんが、ハイレゾ音源をメインで聴かないのであれば、対応機でもそうでなくても変わりませんし、これで十分高音質だと思います。

この新キットで冒頭にご紹介したユーザー様方にはご満足していただける事と思います。
また、今回はバージョンアップの改定ではなく、上位キットとして標準キットと共に販売いたしますので、インピーダンスの高いヘッドホンの駆動や大音量を鳴らしたいといったヘッドホンメインの用途・ニーズ以外のユーザー様は、これまで同様に定番のPCM2704キット(ノーマルタイプ)をお求めいただければと思います。

今回、幅広いニーズをカバーすることで、改めてPCM2704キット(現行のノーマルタイプ)とPCM2704+TDA1308キット(新商品のバージョンアップタイプ)が評価される時が来たのではないかなと思います。
是非お試しください。

【標準モデル】
H40RA

【今回採用のTDA1308 シルク印刷ビンテージタイプ】
Mon May 23 18-34-23

【大サイズ比較画像】(大きい方が今回採用のIC)
Mon May 23 18-44-16