みなさん、お久しぶりです。
今回新たにPCM2704+TDA1308 DAC/DDC & HPA自作キットを発売することになりましたが、販売に至るまでの話について触れたいと思います。
長くなりますが、自作好きな方にとっては非常に興味深い内容になっていますので、お時間の有る方は是非ご覧ください。
【PCM2704+TDA1308 DAC/DDC & HPA自作キット開発の経緯】
現在キットの定番になってご好評いただいているPCM2704 DACキットを購入されたユーザー様からいただいているご意見で
「高めのインピーダンスのヘッドホンをキッチリ鳴らしたい」
「後段にヘッドホンアンプICを搭載してほしい」
「もう少し高音質で聴きたい」
「出力パワー(音量)が足りない」
といったお声を多数いただいており、
追加要望的な部分ではヘッドホンユーザー様からのご意見が目立っておりました。
PCM2704のIC自身にはヘッドホンを駆動させる為の簡易的な増幅アンプが付帯しており、ラインレベルでの使用やインピーダンスの低いイヤホン・ヘッドホンで使用される場合は特に問題ないのですが、「本格的にヘッドホンを駆動させたい」といったニーズまでは満たせていませんでした。
2704キットを販売している中でヘッドホンユーザー様のご意見を蓄積しつつ、そのようなニーズを満たす新たなコンセプトのキットの案を温めていたところ、面白い趣向のヘッドホンアンプICを手に入れましたので、久しぶりのNewキットの製造に踏み切りました。
【開発秘話】
設計を煮詰めていくうちに試作を数回していった際に、面白い事に気づいたんです。
試作段階で購入した2タイプのTDA1308のIC(TDA1308ICの刻印が白のシルク印字のICと、レーザー印字のIC)で音質が違う(主に音の響き・奥行き感)と感じたのです。
試作のために数個単位で購入したICだったため、最初は片方のICは偽物をつかまされた思っておりました。
そして、レーザー刻印のタイプが音質的に劣っていた感じでしたので、仕入れ先に事情を聞く為に連絡したのですが、結局両方のTDA1308はオリジナルだった事が判明しました。
最終的にはパッケージングされた中のウェハーを確認して確信に至ったのですが、白シルク印字タイプが旧タイプで、レーザー刻印タイプが現行(NXP)という事でした。
フィリップス時代のレーザー刻印もシルクの後にあったみたいですが。。。
という事で、新旧ウェハーサイズを比べてみると、大きさが2倍以上違います。
設計はほぼ同じですが、データシートの評価値は当初の大きいダイサイズの時の数値だと思われます。
結局、弊社にてアナライザーで計測した際に新旧でゲインを合わせた際の全高調波歪の値に差が出ていました。
これが、前述した響き・奥行き感に影響しているものだと思われます。
という事で長くなりましたが、結構レアな情報と音質面での影響が大きかったので、今回のフィリップスTDA1308はICの仕入れ価格が少し高かったのですが、
音質の良かったビンテージタイプの(タイランド産)のシルク印字タイプを採用する運びとなりました。
更に、PCM2704のUSBDAC ICも実はマレーシア産と日本産の2種類が存在しています。
これに関しては、以前からも把握しておりましたが、両方とも現行で製造しているものですし、特に産地は指定せず安い方(マレーシア産)を使っていました。
今回はこの機会に何かある事を祈って日本産をチョイスしています。
使用用途としてのコンセプトは変わりましたが、設計の概念などは変わらず、低雑音化を意識したGNDのアートワークを用いていますし、今回のヘッドホンアンプIC部分の回路で出力側での非可聴領域の振りも吸収されて、静かで繊細な音も綺麗に表現できるようになっています。
そして、以前と変わらずこだわりの部分は健在で、
TDKのUSB信号専用設計のコモンモードフィルターも配置していますし、電源のデカップリングは不具合が出ないレベルで安全マージンをもって各所で効かせています。
DC外部給電の切り替えもOKですし、ホストコントロール制御用のピンも用意し、
デジタルアウトのロジックICも省略せずに備えています。
また、アップグレードキットでは更なる高音質を体感できますし、デジタルアウトの信号の品質向上と光デジタルアウトが追加できます。
最近流行のハイレゾではありませんが、ハイレゾ音源をメインで聴かないのであれば、対応機でもそうでなくても変わりませんし、これで十分高音質だと思います。
この新キットで冒頭にご紹介したユーザー様方にはご満足していただける事と思います。
また、今回はバージョンアップの改定ではなく、上位キットとして標準キットと共に販売いたしますので、インピーダンスの高いヘッドホンの駆動や大音量を鳴らしたいといったヘッドホンメインの用途・ニーズ以外のユーザー様は、これまで同様に定番のPCM2704キット(ノーマルタイプ)をお求めいただければと思います。
今回、幅広いニーズをカバーすることで、改めてPCM2704キット(現行のノーマルタイプ)とPCM2704+TDA1308キット(新商品のバージョンアップタイプ)が評価される時が来たのではないかなと思います。
是非お試しください。
NOSDACキット見っけ!?TDA1543と勘違いして色々検索していました。
PCM2704の基板いろいろ入手して最終的に個人頒布のハイレゾDSD方面に興味が移ってしまいましたがまた初回品が欲しい。
以前掲示板でPCM2704kitでRMAA測った際、LPFを入れると成績が良くなるというコメントがありました。本キットでDACとアンプICの間にLPFを入れることはできませんか?
>今回のヘッドホンアンプIC部分の回路で出力側での非可聴領域の
>振りも吸収されて、静かで繊細な音も綺麗に表現できるようになっています。
これですね。既に対策されていますので、追加の必要性はないです。
入れると若干減衰がかかって音質が下がりますが、追加したいのであれば2704と1308の
信号ライン上をカットして介入させればLPF入れる事は可能ですよ。
キットなので本来その辺りもご自身のやりたいようにできますし、キットの醍醐味じゃないでしょうか?
USB受けでCM108のデジタル出しのTDA1543 8発並列で作った試作とかあったりします(笑
周波数特性がまともに決まらないので製品化してませんが、新旧ICで色々してますよ。
>また初回品が欲しい。
ちなみに、PCM2704 DACキット(標準モデル)は平行してそのまま継続販売になってますので誤解の無いようにお願いいたします。
ご無沙汰してます。
TDA1308の入力をPCM2704に直結してみました。R22,23をはずして、R22と23がつながってるパターンに細い電線をつないで、C6のプラス側につなぎます。C21をショート、C28をショートします。これで、ヘッドホンアンプの入力コンデンサの音質への影響はなくなります。欠点は、出力中点電圧が1.5V位になるので、出力クリップが上下対称でなくなることです。